『平田清明 市民社会を生きる――その経験と思想』
故平田清明先生の遺稿集が『平田清明 市民社会を生きる――その経験と思想』のタイトルで晃洋書房から出版される。
今年が、かれの13回忌になるのだと「はじめに」の冒頭に記されている。
もう、そんなにも月日が経つのかと、少し驚いた。
私は平田先生と直接の面識があるわけでもない。
だから、いってしまえば、大勢のたんなる読者の一人に過ぎない。だが、それでも2つの理由でどうしても不思議なご縁のようなものを感じないではいられない。
その1つは、大学院時代以来、井出裕久氏と共に一貫して研究仲間でもある友人の佐野正彦氏と関わる。ちなみに大学院時代のことだが、口の悪い先輩諸氏は私たちのことを「3馬鹿」と呼んでいた。
さて、1994年に佐野氏が鹿児島経済大学(現在は鹿児島国際大学と名称変更されている)に赴任し、そのとき同じく学長として来られたのが平田先生であった。
そのときも驚いたものだ。
「えっ、あの平田清明なの……」と、こんな具合だったとおもうが、平田先生は学内行政の面でも次々に手腕を振るわれ、佐野氏から大学の研究環境が格段によくなっていくさまをリアルタイムのように聞いた記憶がある。
次いで第2の理由だが、それは2000年に私が稚内北星学園大学に赴任したときに、共に来られた佐々木政憲先生に関わる。
正直に書いてしまうが、十全な信頼の置ける方だとはいえ、どちらかというと「天然系」に属されているとおもえる佐々木先生が平田先生の教え子であると知ったときの驚きはかなりのものだった。
何しろ、「学風」というか「芸風」、微細な部位へのこだわりがずいぶんと異なるように感じるのだ。
というのも、やはり私にとっては、現在でも平田氏とはどこまでも『市民社会と社会主義』であって、かれの名前を思い出すときには、どうしても「個体的所有の再建」ということばは不可避だ。
読者としては、すでにもう30年以上も前の出来事になるが、あの書への印象はやけに鮮明なままなのだ。
最後になるが、以下に、簡単な目次を紹介しておく。
はじめに(平田清明遺稿集編集委員会)
第Ⅰ部 マルクスと現代――ソルボンヌにて
第Ⅱ部 市民社会とレギュラシオン
第Ⅲ部 日仏の比較論
第Ⅳ部 日本経済への提言
第Ⅴ部 教育行政・社会運動への発言
結 ケネー経済表の循環回転論的解明
あとがき(平田清明遺稿集編集委員会)
なお、どの遺稿にも簡潔な解題が附されていて、少し不案内な領域を持つ私にはとても手助けになる。
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